電気料金を下げるには?~まだデマンド管理をしていない工場様へのご案内~

家庭でもそうですが、あなたの工場の電気代とても高くなっていませんか

そうなんです。電気の単価が上がりましたから。工場など、省エネや節電を行って電気の使用量を抑えれば電気代が下がるのはわかりますが、不要時の消灯や照明をLEDに変えるなどよくある対策はたいてい実施ずみなんです。ほかに電気料金を下げる方法はありませんか?

まず、結論を知りたい方はこちらへ

ほかにも下げる方法があるんです。基本料金を下げる方法ですが、工場によっては大きく下がる可能性を秘めています

電気料金は「基本料金+電力量料金」で、省エネなどは後者の電力量を減らす行動なのです。

もう少し詳しく説明しますと、

基本料金=契約電力✕基本料金単価
電力量料金=使用電力量✕電力量金単価

です。
ここではこの基本料金を下げる方法、つまり契約電力を下げる一つの方法を紹介します。毎月下がりますので、1年間では12倍の効果が現れます。

なお、上述の計算式において基本料金には力率が影響しますし、電力量料金には燃料費調整額も影響しますが、式では省略しています。ほかにも再エネ発電賦課金もかかります。

契約電力はどのように決まる、金額は?

このように、基本料金は契約電力というものに比例して増減しますが、契約電力がどのようにして決まるのかというと、電力会社のメーター(取引計器)は「1ヶ月間の電気の使用量」と「30分間の電気の使用量」をそれぞれ管理していると考えてください。
後者の「30分間の電気の使用量」において、その月で最も大きいものをその月の最大需要電力と呼び、契約電力に決定される仕組みなんです。わかりにくいですが、徐々に理解が深まると思います。
最大需要電力は繁忙期や冷暖房需要の高い時期などいつも以上に負荷が集中したときに発生します。例えば始業開始直後や特定の曜日のある時間帯あるいは気温の高い日の午後などです。

なお、「30分間の電気の使用量」の30分間とは毎時00分~30分、30分~60分と定義され、使用量(kWh/30分)は平均化するため2倍(30分→1時間)し、単位は「kW」を用います。

金額はいくら?

仮に今月、今までより大きな最大需要電力が発生すると、こちらが契約電力に自動更新されます。例えば前月まで契約電力は200kWとし、今月のある日のある30分間にいつもより多くの電気を使ったため、気づかない内に最大需要電力が210kWに跳ね上がった場合、今月の請求書を見ると契約電力は200kW→210kWとなり10kW増えたことに気づきます。

契約電力10KW相当の金額(力率:100%)

基本料金=10[kW]✕1390.87[円/kW・月]✕0.85=11,822円/月(東京電力の場合)
基本料金=10[kW]✕1690.70[円/kW・月]✕0.85=14,370円/月(東北電力の場合)

一方下がった場合、契約電力はすぐには下がらない仕組みなのです。なぜなら、過去1年で最も大きかった月のデマンドが契約電力に決まる仕組みだからです。
ここが大変重要で、デマンド抑制への取り組みが進みにくい一つの要因かもしれません。

契約電力の決まり方は各電力会社共通(50kW~499kWにおいて)ですが、「基本料金単価」は各電力会社でかなりばらつきがあります(上表)。したがって、同じ10kWを下げても、削減金額は異なります。
最大需要電力(=契約電力)のことを通常デマンドと呼んでいるので、以降一般的に馴染みのあるデマンドと表現します。

デマンド(契約電力、最大需要電力)を少し補足

ちなみにデマンドは業種や規模が同じでも異なるものです。また、同じ工場でも前年同月の値は異なりますし、ちょっとした電気の使い方でも変化します。実はここにデマンドを下げるヒントが隠されていると言えるのです。

時間のあるとき、自社のデマンドの推移を調べてみてください。請求書を見ると、当月と前11ヶ月のデマンドが記載されているはずで、繰り返しになりますが一般的に繁忙期や冷暖房の電力需要の高い夏期・冬期にデマンドが大きくなる傾向があります。
この情報からどの程度デマンドが下げられるかおおよそ推測できます。
ついでに基本料金単価は幾らかも確認しておきましょう。

また、基本料金は電気料金の40%程度(操業状況などにより異なる)くらい占めていますので、少しの削減でも効果は大きいはずです。しかしながら、デマンド管理といえば「何かを止める」との認識が根強いため、中小規模の工場において取り組みは積極的には行われていないのが現状です。

理由の一つとして、デマンド管理には電力の見える化が必須になりますが、従来型のデマンド監視装置は超過監視はできるものの、デマンドを管理するに必要な機能が不足していることが挙げられます。
また、デマンド管理にはある程度の専門性のある人材と継続運用が必要で、そういう環境が整っていないことも理由に挙がられのではないでしょうか。

では、どうやって下げるの?手順は?

ここからは「省エネでまこん」の説明であり、一般的なデマンド監理システムとは異なる点もあるかと存じます。

まず、受電電力を「デマンド管理システム」に取り込みます

電力会社の取引計器は電気の使用量を計量していると述べましたが、この信号をデマンド管理システムにも取り込みます。その取り込むためのハードはいたってシンプルなので、一般的に配線工事はそれほど面倒ではありません。そうすると取り込んだデータ、すなわち今現在の電力消費状況はパソコンやスマホなどで見ることができるようになるのです。

図は、デマンド管理システムの概念を示したものです(省エネでまこんの例)。

「省エネでまこん」の仕組み

電気需要設備(取引計器パルス信号)→省エネでまこん[本体]→インターネット→クラウド→PC・スマホ等
 

したがって、●●が動いたときとか■■が停止したときなどの状況はほぼリアルタイムでわかるようになり、デマンドデータについては逐次蓄積され、デマンド分析に引き継がれます。

また、図のような30分後の「デマンド」を予測する機能も付いているため、目標よりも大きなデマンドが出そうなときには適切なタイミングでアラートを出すことができます(メール)。これは従来からある予測機能ですがこれはこれで便利ですね。
アラートが出た場合空調を止めるが常套手段ですが、空調はいつも100%負荷で動いているとは限りません。このような場合、空調を止めても効果は現れないはずです。かと言って、デマンドを抑えるために生産設備など特定の機器を止めたりするのは困難ではないでしょうか。

(図:デマンド予測)

逐次取り込まれ、データが蓄積されると・・・

データが蓄積されてくると図のような分析グラフが意味を持つようになり、直感的に次のような事実がわかってきます。いわゆる見える化です。なおこのグラフは自動で作成されるため人手による作図は必要ありません。

一般論ですが、まだデマンド管理を行っていない工場の場合、デマンドの上位95%以上の発生件数は10件程度/年です。ざっくり言えば、「上位10件を抑えればデマンドは5%下げられる」ということです。

(図 デマンド分析)

 <図から読み取れること>
・昼休み前は◯◯◯だから電気を多くつかっているんだ
・金曜日は極端にすくないな。なぜだ?
・上位5回を抑えれば、デマンドは10kWもさがるんだ
 

さあ、次はどうする

ヒアリングしてその時の状況を深掘り、対策を策定(いわゆるスマートデマンド管理)

年に数回発生する過大なデマンドがいつどんな状況のときに発生するかが明らかになったので、その時の状況を深掘りするため関係者にヒアリングします。その時というのは特定の30分間なので、時間がたつとその時の状況を思い出せなくなります。だから、なるべく早く聞き取りを行います。

そうすると、いつもより大きな負荷をかけたとか、トラブルの影響でいつもと運転する時間が違ったなどの「いつもと違う状況」がわかってくるでしょう。であれば、次回同様なケースに直面した際のために回避策を練っておき、関係者の間で共有しておきます。
あるいは、「いつもの工程パターン」を見直してピークシフトする方法も効果が期待できます。

場合によっては「今は動かして良いか」判断できる情報があると対応できるようになります。先程も述べましたが、このような時にも役に立つのが「デマンド予測」機能なんです。

こんな見える化があると、モチベーションUP!

そうなんだです。何かデマンドを下げるアクションを行った際、その時の状況が見えないと効果があったのかどうかわかりませんよね。だから、その時の状況がリアルタイムに見られる、あるいは後から確認できる機能があればアクションの効果がわかりモチベーションが上がります。そのうち、どの程度の操作をすれば、どの程度の反応があるか肌感覚として蓄積できるようになります。そうするとコツがつかめてきて、これは一種の匠のような技を身につけるツールにも成り得そうです。

そして、その時の様子(データ)は後から何度でも繰り返し見ることもできるため、検証や改善も可能になります。ここで大事なことは細かく記録しておかないと再現してもわからない点です。一般には1分~5分程度で記録に残す場合が多いのですが、「省エネでまこん」では 30秒間隔なので、行った操作とその応答を紐付けできるんです。

さらに、現場においては長期にわたり同じ工程を繰り返している場合が多いと思いますが、その手法が今の時代や環境にそぐわない場合もあるのではないでしょうか。そういった見直しタイミングではエネルギーの効率化も念頭におき検討するのがよいでしょう。トライした際、細かく記録に残るのでこういった場面でも活用できます。

ついでに加えると、24時間にわたり30秒間隔で記録していますので、想定していない電力消費の状況も知ることができます。例えば、夜間のある時間に想定外の電力消費が発生しているとか、休日にも関わらずある時刻になると何かが動いている様子などが見つかることがあります。つまり デマンド監理だけに留まらず、省エネ取り組みにも役立ちます。

(図 30秒間隔の受電電力)

デマンド管理システム「省エネでまこん」

上述したような機能のあるデマンド管理システムであればスマートデマンド管理ができますので、システムのメーカーは問いません。ただ、「省エネでまこん」はほかにも役立つ機能をたくさん備えているんです。
そして、継続して活用できるシステムであるかも重要です。過去のデータは保存され、すぐにグラフ表示できる。インターフェイスはWEBブラウザなので、現場からでも出先からでも、いつでもどこからでも工場の稼働状況が見られるのは便利ですよね。経営者にとっても工場が安定稼働しているかすぐに確認できるのは安心ではないでしょうか。こんなシステム、なかなか見当たらないのではないでしょうか。

最後に、契約電力(基本料金)の下げ方をまとめました!

まずは工場の契約電力がいくらか(kW)調べましょう。

1.デマンド管理システム(省エネでまこん)を導入し
2.大きなデマンドの発生状況を観察(Observe)
3.その発生要因・対策を探り(Orient)
4.その対策を実行(Decide)
5.効果を検証(Action)→2.Observeへ

つまり、OODAサイクルですね。どれか一つ欠けても目的は達成できません。
工場によっては年に数回注意を払うだけで、2~3年で確実に元が取れるコストパフォーマンスのとても良い手法なんです。
大局的にはその地域の電力安定供給や電力価格の上昇抑止にも役立つ取り組みとなります。

うちの工場には電気の専門家がいない!

「省エネでまこん」はIoTなのでリモートにより丁寧に対応します。ご心配には及びません。
デマンド管理以外の機能も後付できますので、後々のエネルギー管理(FEMS)を行いたい場合もハード面においては計測器・無線機の追加だけで対応できます。
そのほか、導入に関することなどQ&A形式でまとめたPDFはこちらです。
また、こちらの販売促進チラシもご活用ください。

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