エアコン、外出時止める?

2024年3月28日

前回、エアコンの設定温度と消費電力の関係を調べたところ、「エアコン(暖房)の消費電力は室内温度と外気温の差に比例する」ことがわかりました。
今回はちょっとした外出の際など、「エアコン(暖房)を止めるかそれとも運転したままか、どちらが省エネなの」か我が家のエアコンで実験しました。

実験

「ちょっと止める」は30分間隔でエアコンの電源を入切する方法(以下、断続運転)とし、他方は運転したまま(以下、連続運転)とし、外気温が同じような日の早朝に数回実験を行いました。

  • 実験条件
    ・暖房運転:18℃設定 風量弱 エアコンの仕様などはこちら
    ・二通りの運転:断続運転と連続運転。断続運転は「こまめに止める」をイメージ
    ・時間帯:早朝の3時間(外気温度がほぼ同じの日)
    ・室内条件:ほぼ同じ状態に維持
    ・温度測定箇所
      ・室内:エアコン付近(床上1.8mに2か所)
      ・室外:エアコン室外機の上方2m程度
    ・計測機器:省エネでまこん(計測間隔1分)
  • 実験手順
    断続運転:30分間運転、その後30分間停止を3回繰り返す
    連続運転:2時間30分間連続運転

計測結果グラフ

  • グラフについて
    ・図1-1と図1-2は断続運転の結果です。図1-1は省エネでまこんのキャプチャ図(2時間分)、図1-2は省エネでまこんの内部データのCSVをEXCELへ展開したグラフ(3時間分)で、グラフ要素などが異なっています。
    ・図2-1と図2-2は連続運転の結果です。同様に、図2-1は省エネでまこん、図2-2はEXCELグラフです。
  • グラフ軸
    ・省エネでまこん  第1軸:瞬時電力(W) 第2軸:電力量(Wh/分),室内温度(℃)
    ・EXCEL      第1軸:電力量 第2軸:室内温度,外気温度(瞬時電力は非表示)
  • 補足
    ・外気温は連続運転を行った日の方がわずかに高いです。
    ・両実験とも外気温度が低かったため、「霜取り」が作動しました。「霜取り」はともに2回発生し(1回は運転開始30分~45分後)、連続運転ではその間温度が下がって谷間ができています。なお「霜取り」が作動しないときのロードカーブはこちらをご覧ください。

 

消費電力比較

計測データによると、断続運転の方が連続運転より消費電力量は少ないとの結果になりました。その分、断続運転の室内温度は低くなっています。

  • 消費電力量
    断続運転の合計消費電力量は1,224Wh
    連続運転の合計消費電力量は1,559Wh
    その差、335Wh
  • 省エネ効果
    断続運転は335Wh/2.5hほど少ない(約25%
    金額では103円/2.5hほど安上がり(単価31円/kWhとして)
  • 室内温度、外気温度
    ・室内温度は断続運転の方が平均3.0℃低い(運転開始~180分)
    ・平均外気温は断続運転の方が1.9℃低い。仮に外気温度が連続運転時と同じとしたら、平均室内温度はもう少し高くなるはず(消費電力量は変わらない)

安定時

前述は運転開始から150分までの結果ですが、時間が経過し安定したらどうなるかを推定してみます。
下図は前述の図を単純化したもので、断続運転の最初の30分間に発生した電力量は399Whで、これを「A=399Wh」と置きます。そうすると、断続運転の2回目の運転は0.97A、3回目は0.95Aとなります。連続運転では0.99A→0.83A→0.78A→0.72A→0.56Aと徐々に減少していますが、断続運転ではそのように大きな減少は窺えません。

断続運転では運転を繰り返すごとに、電力量は初回より少しづつ減少し(1.00→0.97→0.95)、温度は少しずつ上昇しています。目標温度18℃(運転の期間)に達するにはあと何回か運転繰り返す必要がありそうです。その時の消費電力量の正確な推定は困難ですが、1.00Aを超えることはあり得ないでしょう。
そこで、095Aと仮定します。しかし、30分運転中の後半には18℃になるでしょうが、1時間の平均では18℃にはならないでしょう(停止時には10℃近く下がる)。おおよそ、14℃程度でしょうか。

一方、連続運転において、5回目(120分~150分)では設定温度にまで到達し温度も一定、電力も安定(450W程度)しているようです。この時の消費電力量は450Wh÷399Wh≒1.12Aとなります。

以上より安定した状態での1時間当たりの消費電力と温度を推定すると、
 ・断続運転:0.95A(379W) 平均室温14℃/1時間程度
 ・連続運転:1.12A(450W) 平均室温18℃/1時間
となり、断続運転の方が、
 67W(15%)
ほど省エネとなります。ただし室温は連続運転より4℃低いです。

まとめ

今回の実験で、エアコンは外出時など、「こまめに止める」が省エネになることがわかりました。理由として以下が推測されます。

  • 断続運転(こまめに止める)ではエアコンが止まっている期間があり、その間の消費電力量は「0」である
    (その間、30分間で8℃程度下がる※)
  • 連続運転において、安定期の消費電力(450W)は、断続運転の消費電力(379W)より大きい

※外気温・設定温度、部屋の断熱性能等により異なる

最後に

  • 見える化は省エネにつながる
    設備や機器のエネルギー消費状況を実際に計測することで現状が明らかになります。本事例からも、エアコンの電力計測、室内外の温度計測による見える化で、「こまめに止める方が省エネ!」が実証されたのではないでしょうか。
    あくまでも本実験と同等の環境においてですが。

  • 温度計を備えて冷暖房の省エネ
    人間には正確な温度を感知するなどの能力は備わっていません。五感に頼るのではなく、温度計により客観的に温湿度を認識し、エアコンなどの冷暖房器具を効果的に使うことは省エネの点で重要です。
    最近では、精度が高くスマートフォンにも表示される温度計が安価に入手できるようになりました。上手に活用することで、より効率的に快適な環境を保ちながら、エネルギーも節約できるでしょう。