デマンド管理 関連情報

デマンド管理 関連用語について

更新日 2022年7月

用語 意味
最大需要電力
(デマンドと同義)
・30分単位(デマンド時限)における平均電力
・1時間に換算して用いるため、単位は[kW]となる
(100kWの負荷を30分連続で使用すると、使用電力量は50kWh。最大需要電力は、100kW)
・広義には、ある期間(年、月、日など)で最も多く使用した電力をいう
デマンド
最大需要電力と同義
最大デマンド ・その月の最大需要電力のこと
・または過去1年間の最も大きな値(契約電力)のこと
デマンド制御 デマンドを一定以下に抑制する制御
スマートデマンド管理
デマンド超過予報時、警報を出して例えば空調を一時的に止めるような従来型のpush方式から、発生要因を分析し、要因対策を行うことで大きなデマンド発生そのものを抑制しようとする考え方。
実際、大きなデマンドは特定の時間帯や曜日に繰り返し発生することが見受けられます。
デマンド警報 ・デマンド予測値がデマンド目標値を超えると予測される場合に出力される警報。
一般に、「デマンド予測 >デマンド目標 」の時に出力される方式が多い
・警報は手動制御タイプと自動制御タイプがある
手動制御:パトライトなどを設備の近くに設置し、オペレータが手動で空調などの機器を停止。今後は詳しい情報が見えるスマホ等に移行することが考えられ、温度を少し下げるなど高度な対応が期待される。
自動制御:あらかじめ設定した機器を自動で停止・起動。空調では優先停止やサイクリック制御行われる。照明では回路ブロックの消灯、輸送系などでは回転数や開度を調整し供給量の調整を行う。
デマンド予測 現状負荷からデマンド時限終了時のデマンドを予測すること。以下の式のとおり

F={P(t)+ΔP/Δt・(30-t)}/0.5

F:予測デマンド[kW]
P(t):現在電力[kWh] (パルス積算値×パルス重み)
ΔP:Δt分間の増分電力[kWh] Δt:サンプリング時間[分]
t:デマンド時限の経過時間[分]
0.5:0.5[h](1時間に換算)

デマンド時限 ・30分間。毎時00分、30分から計測開始
・デマンド制御装置の時刻は電力量計と同期させておく
パルス重み パルス重み[kWh/pulse]={合成変成比(VT比×CT比)}/パルス定数

例:
・電力計のパルス定数:50,000[pulse/kWh]
・計器用変成器:変流比100/5A、電圧比6,600V/110V
上記の場合、パルス重み(1パルス当たりの電力量)は以下となる
{(6,600/110)・(100/5)}/50,000=0.024[kWh/pulse]

 問題:
上述の例で、デマンド目標値を400kWとすると、パルス値に換算するといくらか?
回答:

  1. まず、400kW(400kWh)は何パルスに相当するか求める
  2. デマン時限は30分間隔で管理されるため、1/2が求めるパルス値となる
  3. したがって、{400[kWh]÷0.024[kWh/pulse]}÷2≒8,333[pulse]
デマンドコントローラー(デマコン)
「デマンド監視装置」、「デマンド制御装置」、「デマンド監視制御装置」と同義であり、以下の機能を有する装置と定義される。
・電力量計からのパルス信号を取込む機能
・上記パルス信号からデマンドを予測する機能
・デマンド警報を出力する機能(目標値と予測値の比較)
・パルス信号(または電力変換データ)を記憶・出力する機能
契約電力

(50~500kW未満)

・契約電力(kW)とは、最大需要電力のうち,その月を含む過去1年間の最も大きな電力
・基本料金の基礎となるもの
電気料金(1か月)
 電気料金=基本料金+電力量料金

  • 基本料金=契約電力[kW]×基本料金単価[円/kW]×(185-力率)÷100
  • 電力量料金=電力使用量[kWh/月]×電力量料金単価[円/kWh]±燃料費調整額+再生可能エネルギー発電促進賦課金

注1)燃料調整額=電力使用量[kWh/月]×燃料費調整単価[円/kWh]
再生可能エネルギー発電促進賦課金=電力使用量[kWh/月]×再生可能エネルギー発電促進賦課金単価[円/kWh]
燃料調整額は火力燃料(原油・LNG・石炭)の価格変動を電気料金に反映させる制度。平成28年11月現在、この数年間で最大のマイナスとなっています(参考データ 2018年10月)。ところが、2022年7月現在、最も高くなり今後も高くなることが予想されます(2022年7月)。

注2)消費税は単価に含まれている。
注3)単価は各電気事業者、契約内容により異なる。
基本料金単価 1,000[円/kW]~3,000[円/kW]の範囲
電力量料金単価 10[円/kWh]~30[円/kWh]の範囲

見える化
問題や課題が潜んでいるかは問わず、現状がよく分かるように色々な視点から事象を可視化する。そして隠れていた問題や課題を明確にし、(改善や効率化を図る)こと。

注)高圧受電(契約電力500kW未満)の実量料金制度が対象

最大需要電力、最大デマンドのイメージ

上記に掲げた最大需要電力、最大デマンドなどは一般には馴染みが少ない用語で、「1年間の最大デマンド→ 8月の最大デマンド → 8月7日の最大需要電力」と具体的なデータを示すことで、その意味するところを説明。

1.最大デマンド(年間)

demand-year8月の最大デマンドは、電力使用実績(電力会社からの電気ご使用量のお知らせなど)により345kWとなった(図 15/08の月)。そのため、契約電力は320kWから345kWに上がった。(本例では9月の契約電力も345kWが適用される。)

では、8月の幾日に最大デマンドが発生したのか確認してみる。

2.最大デマンド(8月)

demand-month図は8月1日から8月31にまでの最大デマンドについて、それぞれの日における最も大きい最大需要電力をグラフ化したもの。グラフより、8月の最大デマンドは8月7日に記録した345kWである。

さらに、8月7日の時間別の詳細を確認してみる。

3.最大需要電力(8月7日)

demand-day8月7日の最大需要電力(30分単位の平均電力)の実績を見てみると、14:30~からの30分間に最大需要電力345kWを記録していることがわかる。

結果的に、8月7日の14:30~の30分間の最大需要電力が8月の契約電力となった。
(この30分間の最大需要電力をデマンド制御装置を用いて抑制すると、契約電力はもう少しさげることができたものと推察される。)