省エネ提案(省エネでまこん活用)

省エネ提案が発掘できる理由

最大デマンドの発生日や電力消費量の多かった日などのデータと基準となる日のデータを比較してみると、その時に消費された電力は本当に必要不可欠であったのかとの疑問を抱くことがあるのではないでしょうか。

図1は省エネでまこんの30分データについて、基準データ(棒グラフ)に他の日のデータ(黄色や赤色の折れ線)を重ねて表示したものです。基準データと同じような負荷曲線を描いていますがやや違いが観られます。この違いが何であるかを突き止め、無駄があれば改善を行うことで省エネや節電につながることがあります。
図1では9時にピークが発生していますが、省エネでまこんではさらにこの詳細を知ることができます(図2)。このようなきめ細かいデータがあると関係者からのヒアリングや制御シーケンスを確認する際、正確な判断が可能となり正しい対策へと結びつきます。

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図1 省エネでまこん30分データ

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図2 省エネでまこん30秒データ

空気圧縮機(コンプレッサ)の省エネ(1)

<工場省エネのカギを握るコンプレッサ>
下図の構成でコンプレッサの電力量、吐出空気量(流量)、圧力を計測した時、空気配管や設備からの圧縮空気の漏れ量について考察します。(本説明では無線は関係ありません)

省エネでまこんコンプレッサ計測図

下図において、

  1. ある時間にコンプレッサを停止(赤色丸印)
  2. 圧力は図のような関数で減衰(横軸は時間、縦軸は圧力[MPa])
  3. 圧力0.67MPa~0.55MPaの間の圧力の減衰状態を右図に拡大(第一軸は流量、第二軸は圧力)
  4. 図より、漏れ量は0.3[m3/min](2.1[m3]/6.5[min] 漏れ率=t1÷(t1+t2)=13%)。漏れコストを計算すると、約1[円/min]の漏れであり、8時間(※)では480円の損失。本例は小規模工場の例(空気消費量が2[m3/min])であり、大規模工場ではさらに損失は大。

※昼休みが1時間あれば、その間止めると漏れもなくなり、またコンプレッサ消費電力量もゼロ

省エネでまこんコンプレッサ吐出圧計測データ(例)

空気圧縮機(コンプレッサ)の省エネ(2)

<工場省エネのカギを握るコンプレッサ>
定速機(吸い込み絞り弁制御のコンプレッサ)とインバータ機(インバータ制御のコンプレッサ)の低負荷時の消費電力と吐出空気量(流量)について考察します。
下図のグラフはコンプレッサA(定速機)とコンプレッサB(インバータ機)の低負荷時の負荷状況を示したものです。横軸には時間(1分単位)、縦軸には消費電力と吐出空気量をとっています。
コンプレッサAのグラフにおいて、定格に近い運転状態を緑色点線で、吐出空気量がゼロ(オレンジの棒グラフがゼロ)の時を赤色点線で示しています。このグラフから定速機では吐出空気量がゼロ(無負荷)の時でも約75%(150[Wh]÷200[Wh])もの電力が消費されていることが読み取れます。

低負荷時の消費電力(定速型コンプレッサ)

一方コンプレッサBについては無負荷時の消費電力は最大(250Wh)の10%(25Wh)程度であり、定速機に比べて格段に省エネであることわかります(250Whは定格の40%程度)。

このようにインバータコンプレッサは、低負荷時において定速機よりもはるかに効率が良いことがわかります。

低負荷時の消費電力(インバータコンプレッサ)

注意
・コンプレッサAとコンプレッサBの能力は異なる
・黒色点線は、レシーバタンク圧力

見える化を活用した省エネ提案(例)

「省エネでまこん」では30秒ごとの電力使用量やイベント情報を記録に残している。これらのデータや設備管理情報などを基に当該工場の特異点・問題点等を整理報告するフォローを行っている。例えば、以下のような事例。

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図 1

図1のグラフは「ある月の電力量・最大デマンド」を日ごとに整理したもので、毎週休日明け(赤丸)にピークが発生していることがわかる。

 

 

 

 

 

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図 2

次に、休日明けの30分データ(図2)を調べてみると、最大デマンドは始業開始時に発生していることが見て取れる。原因は建物の蓄熱の影響によるものと推察され、時間どおりに空調等を運転するのではなく、状況によっては運転開始時間を変更するなどのソフト面からの対応でピーク対策が打てる。